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過去のワークショップ詳細WEB討論会シリーズ(全4回)

 

WEB討論会シリーズ第3回 パネルディスカッション

 
PBL教育とエンジニアリングデザイン教育の現状と課題
創造性育成とアクティブ・ラーニングのすすめ
~大学の事例から~

開催日 2014年5月16日 13:00~17:00
会場 TKPガーデンシティ竹橋

 今回は、「PBL教育とエンジニアリング教育の現状と課題」~創造性育成とアクティブラーニングのすすめ~と題しておもに大学の事例に焦点をあてました。

 基調講演は創造性育成教育の先駆者としてご活躍の、岡山大学大学院自然科学研究科塚本真也教授に、パネリストには、アクティブラーニングやPBL教育などに特色ある取り組みを進めておられる大学の中から、次の5つの大学、高専にご登壇願いました。はこだて未来大学からはシステム情報科学部情報アーキテクチャ学科教授・木村 健一氏に、電気通信大学からは、情報理工学研究科キャリア教育部会特任教授・前佛 栄氏に、金沢工業大学からは、基礎教育学部教授基礎実技教育課程主任・千徳英一氏に、九州工業大学からは大学院工学研究院教授・学長特別補佐・中尾 基氏に、そして大学間連携推進事業として進めている「社会実装教育」の紹介を代表校である東京高専から同校特命教授で東京大学フューチャーセンター推進機構RTイノベーションコンソーシアム特任教授・佐藤 知正氏にご登壇願いました。

 塚本教授からは、創造性育成教育を造り上げるまでの経緯や実践事例、評価手法などについて失敗談を交えたご講演を頂きました。当初は欧米の先進的手法に学び実践したようですが、大学入学前の学習体制の違いもあって、そのままでは学生の実態にそぐわず失敗を重ねたご経験を踏まえ、実施にあたっては学生達の実態に合わせた教育手法を工夫することの大事さを強調されました。PBL教育の導入が自然に学生のアクティブラーニングへとつながり創造性育成に効果を発揮していることが紹介されました。また独自にテキストを開発され、そのCDも無償で配布しているとの紹介がありました。

 それぞれの大学等の取り組み事例について仔細にご説明頂いた後に、次の5テーマを主題にご討論頂きました。

 ①求める人材像の変化
 ②各大学における具体的な取り組み事例から
 ③教員および学生の意識改革
 ④社会との連携および協創の必要性
 ⑤PBL教育における評価法

 各パネリストからは、PBL教育の導入に対し認識が十分でない教員も少なからず見られたが、啓発活動を続ける中で次第に理解者も増えていることから、PBL教育活動が教員のFDにも効果的であることが共通認識として紹介され、取り組みのご苦労が垣間見られました。また、COOP教育(産業界や社会と連携した実践的なキャリア教育)を進めるための環境づくりとして、指導陣への企業経験者の適切な配置と、互いの恒常的な連携構築が欠かせないことがあげられました。また適正な評価の在り方はもっとも難しい課題であり、今後も互いに経験を重ね情報交換しながら改善していく必要があることなどが共通事項としてあげられました。

 その後フロアを交えての質疑応答が行われ、時間が不足するほど熱心な質疑が交わされました。質疑の中からいくつか拾い上げますと、「PBLにおける課題設定の工夫、ならびにCOOP教育を進める際の社会との関わり方のポイント」について質問があり、これに対しては、一方的な想いだけではうまくいかず、連携する産業界や社会などと教育界の双方が互いに成果を実感し合えることは何かについて、常に意識することが重要であるとの助言がありました。また「知識の修得とPBL教育の関わりや、学生が持つ潜在能力の顕在化とその組み合わせ、あるいは学生個々人に対する評価の在り方」について質疑が交わされました。この件については第1回目の対談も参考になるものと思います。また市場を意識できる素養を持った技術者の育成の必要性が共通認識としてあげられましたが、この点については各大学とも大学院での実施になっているとの紹介がありました。

 なお、PBL教育の導入にあたっては目的、目標に応じて、低学年、高学年、大学院へと学齢に応じた内容で段階的に導入する事が重要であるとの認識が共通にあげられました。最後に木村氏はPBL教育設計におけるデザイナーの役割、あるいはPBL教育活動を持続的に発展させるための活動のポイントなどについて紹介されました。

 各講師の先生方には率直にお話をいただきました。取り組む際の参考になると考え、Web画像については出来るだけそのまま掲載しています。今後の教育改革の参考になれば幸いです。

“イノベーティブ・ジャパン”プロジェクト推進室 特命教授
丹野 浩一
 
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