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事業推進代表挨拶 新保幸一

 
高専教育の先進性

 イスラエルで起業家がよく育つと書かれた本*を読みました。粘り強さ、権威に対する疑問を持ち続けること、格式にこだわらないこと、失敗、チームワーク、任務、リスク、学際的創造の“物語”です。23歳の部隊長が無数のジレンマを抱え教科書的解決策が無い状況で人質を救出した話等を挙げ、“フィールド”での情報収集、思考、判断、基地帰還後の権威や格式を無視した議論というイスラエル軍の風土が優れた起業家を生む、ということも書かれています。でも戦場による起業家の育成は日本には向かないと思います。
それに代わるのが社会実装教育です。学校が準備した“フィールド”、すなわち、学生が作る人工物のユーザーと学生が対話する“コミュニティ”で学生は主体的に行動し、ユーザーを喜ばせようというマインドを育みます。これならイスラエルに負けません。こんな技術者教育を始めた高専はとても先進的です。アカデミックとの連続性を持ちつつ高度な職業教育を行う高等教育機関、それも15歳からの好奇心やクリエイティブマインドが旺盛なティーンエイジで社会実装教育が受けられる高専こそ我が国に必要です。先のシンポジウム「高専教育の地平」で多くの人がこの考えに賛同しました。


*「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」
ダン・セノール/シャウル・シンゲル著、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012


2016年4月
 
プロジェクトのこれまで、これから

  社会実装コンテストに参加する高専、チーム、学生の数は年々増加し、平成26年度は、11高専、42チーム、67名の学生の参加があり、社会実装教育は大きく広がりました。コンテストに参加した学生達のコメントに「コンテスト参加は大変だけれども、最後に充実感と達成感が味わえた。是非、後輩に勧めたい」とありました。日経ものづくり誌(2015年4月号)の特集“こんな工学部は不要”の中で“変わる教育機関”として高専の社会実装教育が紹介され、国土交通省の協力により社会インフラの点検なども社会実装対象に加わりました。とても良い技術者育成プログラムの構築を予感いたします。

 また、高専卒業生のキャリア調査では、3,408人(最終・確定)の卒業生の皆様方にご協力を頂き、貴重なデータを集めることが出来ました。高専で主体的積極的な学びの姿勢を身につけることがキャリア構築に有効であるという結果を予想しますが、これからの分析結果は果たしてどうでしょうか。“大変だけれども達成感が得られる”社会実装教育はまさに主体的積極的な学びを促すものです。イノベーティブ・エンジニアに育つことはもちろんですが、一人一人の幸せなキャリア構築を祈ります。

 社会実装はマインド(心)を育みます。この育成には、感受性が高く、好奇心が強く、創造力がよく育つ年頃、大学生より若い本科3~4年以下の方がより効果的ではないか。これの検証も是非行いたいと考えています。


2015年4月
 
社会実装がテレビに出ました
 先日(2014.3.8)、2回目の社会実装コンテストを開きました。昨年の1回目では「機器を試して頂くユーザーとお茶を飲む」とコミュニケーションの大切さを指摘した学生の発言に感心したと私は述べました。今回のトピックスはテレビ放映です。

 番組ワールド・ビジネス・サテライトの特集「使えるロボットを作れるか」の一部で、「社会実装コンテスト」の様子が映され、“生活で使われるロボット”として紹介されました(3/14 夜 11:15 テレビ東京)。ロボットユーザー、ロボットメーカー、介護ロボット開発現場での取材ソースによる番組構成の中で、「社会実装コンテスト」は日本発の「使えるロボット」を作ることが教育現場でも意識されているとして採り上げられました。

 「作る側と使う側が一体になることがカギ。課題解決や性能を伸ばすことを一生懸命考えるのは重要だが、何に使えるかを後から考えるのは陥り易い落とし穴。何が望まれるか考える人がいて、こういうものが欲しいと注文し、コミュニケーションしながら良いモノが作られる」と私達の考えと同じ方向性で特集を締めくくりました。

 テレビ放送で学生さんが「楽しい」と言っているシーンが印象的でした。楽しみながら社会実装体験、素晴らしいですね。

2014年4月
 
『ロボット特区』フォーラムに学生が関心
 東京高専の教員が地域企業とどう関わり合っているかをつぶさに見せようと、神奈川県の南西フォーラムへ学生達を連れて行きました。内心、学生達が興味をもつだろうかとちょっと心配でした。

 本校の佐藤特命教授の講演もあり、神奈川県の行政、中小企業、地域金融機関及び本校の教員をはじめとする教育機関の関係者が200名以上も集まり、『ロボット特区』への関心の高さを感じました。

 学校へ帰って「面白かった。このような機会があれば、是非、参加したい」という学生達の感想を聞いて、やはり学生達を連れて行ったのは正解だったと喜び、今の学生達は、学校内での学修だけでなく、学校外で教員がどんな人達とどんな話をしているのかに、大いに興味をもっていることを確認しました。

 『ロボット特区』で成長の芽を探る真剣な雰囲気を感じて、学生が「起業」に興味を持ってくれたらいいなと思います。若い人の起業は日本再興の鍵ですから。

 ※神奈川県が今年2月に『ロボット特区』の認定を国から受け、これを機に第26回目のフォーラムが開催されました。この特区は、高齢化社会の課題解決に向け、生活支援ロボットの実用化と普及、実証実験の充実、関連企業の有機的集積を目指すもので、成長産業の育成と地域の活性化を図るものです。
 
学生の回答に審査員の先生方も思わず皆脱帽
 先日、7高専の学生と教員、公益社団法人日本工学教育協会、八王子商工会議所等の審査員のメンバーが「東京大学本郷キャンパス」に集い、本プロジェクトの活動成果報告を兼ねての「社会実装コンテスト」を行いました。

コンテストでの一場面。
あるチームのプレゼンが終わり、審査員の先生が、学生に質問。
「あなたは、今回の社会実装で、特に何を工夫しましたか?」
学生の回答、
「ユーザーの人達と一緒にお茶を飲みながら会話したことですね」

すると同時に、会場内のあちこちから「そうだ、そうだ」の声が沸き起こり、それは、これからの日本の未来を支えて行くエンジニアの卵達が互いに〝共感し合った素敵な瞬間〟でありました。

 ユーザーとの信頼関係が〝成功の鍵〟であることを、すでに学生はしっかりと認識していました。これには〝審査員の先生方も思わず皆脱帽〟です。教員が適切な環境を整えることで学生は、教員が思う以上に学んでくれました。これからがとても楽しみです。

 引き続きご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
 
イノベーティブ・ジャパン プロジェクトによせて
 文部科学省は、一関、小山、長野、沼津、和歌山、沖縄そして東京の7高専とステークホルダーである日本工学教育協会、八王子商工会議所の連携チームによる「KOSEN発“イノベーティブ・ジャパン”プロジェクト」(平成24年度から5年間)を大学間連携共同教育推進事業に選定しました。

 高専パワーを結集し、イノベーション能力涵養を強く促し、これからの日本にとって重要な産業を創出するエンジニアに学生を育てます。

 高専生を実社会の問題と対峙させ、ユーザーに試作品を使ってもらい、意見交換をすることで、問題解決のために「何を」創り出すべきかを探り当てさせます。

 学生・教員によるワークショップをシリーズで開催し、Webや紙面を通じて社会と対話しながら、日本の強みを活かしたよりよいエンジニアの教育プログラムをつくりあげるために、連携高専一同全力を注ぎます。

 皆様の温かいご理解とご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。