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特命教授コラム

 
“イノベーティブ・ジャパン”プロジェクトの背景にあるもの(2)
東京工業高等専門学校 特命教授 丹野 浩一

 これからはオープンイノベーション(組織の枠組みを越え知識・経験などを共有・結集し、新たな創造を創り出す仕組み)あるいはプロイノベーション(たとえば知的財産などの共有により競争力を高める考え方)などに代表されるようなこれまでとは相当に異なった考え方になる技術開発が必要になると言われています。国内人口も減少し、先進国ではモノ余り現象になりシーズオリエンテッド(開発者からの視点での商品化の在り方)だけではモノが売れなくなってきました。これからは持続可能な社会の形成を目指す中で、市場ニーズを踏まえつつ(ニーズオリエンテッド)地球環境や生活環境などにも配慮した人に優しいモノづくりの実現が求められています。グローバル化が急速に進む中で技術変革の速度は速く、それと共に教育内容の改革も火急の課題になっています。右肩上がりが続いた産業情勢の中で産業界のみならず教育界もガラパゴス化してきたことは否めません。この状況から早く脱皮しなければならないでしょう。

 これまでも何度か教育内容の改編の機運はありましたが、常に教える側の考えが先行し産業界の要請に真摯に向き合った改編がなされて来なかったように思います。いま実行しなければならない改革は、これまでのような単位数を変えたり、科目を並べ替えたりする程度の変更ではないのでしょう。教育関係者が技術教育を取り囲んでいる諸問題に正面から向き合い、問題点をみなさんで共有し本質的なところを解決していくことが大事であると思います。

 求められていることのポイントは、緻密な全体設計の下でエンジニアリングデザイン能力や知財創出能力などを実習も含めたカリキュラムで推進し、関係する技術全体を見通し、市場が求める新たな価値を持った製品を創り出すことが出来る力強く逞しい技術者の育成を可能にする教育プログラムを実現することだと思います。みなさまと多面的な検討を重ね、実学に優れた教育を実践してきたと評価されて来た高専から実現したいものです。当プロジェクトで並行して進める「社会実装コンテスト」などと連動させ、効果を確認しながら理想の実現に向けて進めていければと思います。お力添えをよろしくお願いいたします。