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ロボット革命のすすめ~科学技術社会実装活動~(全3回シリーズ3/3)
東京工業高等専門学校 特命教授 佐藤 知正
2015.12.25

≪前回 ロボット革命のすすめ~科学技術社会実装活動~2/3 (全3回シリーズ)



ロボット革命のすすめ3:武器と革命活動

2.ロボット革命の武器:科学技術

 社会を動かす機械としてのロボットという、新しいロボットを実現する時には、従来の動く機械としてのロボットをつくることがそのベースとなる。それゆえに動く機械としてのロボットつくりを担う人には、そのためにの知識、つまり、機械工学、情報工学、電気・電子工学などの、ものつくりディシプリンの教科を学習することが求められる。しかしながら、それのみでは不十分である。“社会を動かす機械”であるロボットつくりのための知識も要求される。つまり、経済学、人文学、教育学、社会学などの知識も必要となるのである。いいかえると科学技術によって社会を変革しようとすると、このような幅広い知識の学習が不可欠なのである。これが、ロボットによって社会を変革する担い手の武器である。これは科学技術によって社会を変革する担い手の武器でもある。


3.ロボット革命活動:ロボット社会実装活動

科学技術による社会変革に含まれるプロセス


 科学技術によって社会を変革する“科学技術イノベーション”をなしとげるためには、単に科学研究や技術開発を実施していれば事たりるものではない。下記に示したプロセス群が、それぞれ研究と結びついて並行的に実施されることが必要要件である。それらのプロセス群は、a)グランドデザイン構築プロセス、b)事業モデル(ビジネスモデル)構築プロセス、c)技術開発プロセス、d)前述のa)からc)を統合する統合プロセスあるいは統合システム構築プロセス、e)その社会実験プロセス、f)市場展開・開拓プロセス、g)啓発・教育プロセスとさらに、h)関連社会改革プロセスである。ここで重要なことは、これらのプロセスが1)それぞれのプロセス目的をよりよく達成するための“プロセス内容に関する研究活動”や、2)他のプロセスとの関わりかたを追求する“プロセス間関係研究活動”と結びつて実施されることである。


社会実装コンテストとの関係


  実は、イノベ―ティブジャパンで実施している社会実装活動には、上記と同様のプロセスが含まれている。これを上図に基づいて説明する。社会実装活動に参加する学生は、まず1)サービスを自ら考え、それを実現するロボットやシステムを作成することが求められる。次に、2)それを実際の社会現場に持ち込んで、ユーザに使っていただくことで、よりよいロボットやシステム実現にフィードバックすることが求められる。最後に、3)これらの過程をプレゼンテーションすることでコンテストとして競い合うことが求められる。社会実装コンテストでは、ロボコン由来のa)ものつくりを通じて実世界と接触することによる動機づけ(学生の心に火をつけられる効果)とともに、b)チームワークとしての学びが期待される。それに加えてc)社会実験のためには、ユーザに頭を下げて協力をお願いするという対等でない立場でのコミュニケーション教育、d)工学的な言葉では語ってくれないユーザの要望を工学の言葉に翻訳・変換しロボットやシステム改良に結びつけるエンジニアリングリテラシー教育効果も期待される。
 このような社会実装活動の1)サービスを自ら考え、それを実現するロボットやシステムを作成する場面には、a)サービスコンセプトを構築するプロセスと、b)社会実装活動の継続を可能とする活動モデル(ビジネスモデルに相当する)構築プロセス、そしてc)技術開発プロセスと、d)前述のa)からc)を統合する統合プロセスあるいは統合システム構築プロセスが含まれている。さらに2)そのようにして実現したロボットやシステムを実際の社会現場に持ち込んで、ユーザに使っていただくことで、よりよいロボットやシステム実現にフィードバックする場面には、e)ロボットや社会実験プロセス、f)市場展開・開拓プロセス、g)啓発・教育プロセスとさらに、h)関連社会改革プロセスが含まれている。社会実装活動では、最後に3)として、これらの過程をプレゼンテーションすることでコンテストとして競い合うのであるが、前述のプロセスと評価結果として授与する賞との関係も、図に付記しておいた。




革命家としての訓練を受けていることになっている


 以上述べたように、イノベ―ティブジャパンプロジェクトへ参加した学生には、科学技術によって社会を変革するプロセスを経験してもらうことになっている。いいかえると、ロボット革命活動を実践するために必要なプロセスをひとおとり経験してもらうことになっているのでる。もちろん、これらのことを全て一人で実施することはない。チームで分担しながら実施すればよい。この意味からも、イノベ―ティブジャパンプロジェクトに参加している学生は、ロボット革命を実践する担い手として、ふさわしい人なのである。


終章

革命に必要な要素
   革命思想:あるべき社会の姿
   革命道具:科学技術、ロボット技術
   革命活動:ロボット社会実装 訓練受けた→実践あるのみ
  みなさんは、資格を備えている。実践を。

  本稿では、ロボット革命に不可欠な1)革命思想として、ロボット社会のあるべき姿を紹介し、2)革命の武器として、ロボットをつくる学問と、サービスをつくる学問が重要であることを述べた。最後に、3)革命活動は、科学技術により社会を変革する活動、つまり、科学技術イノベーション活動そのものであることを述べ、イノベ―ティブジャパンプロジェクトへ参加した学生は、この活動にふくまえているプロセスを経験しているから、ロボット革命の担い手として、おおいに期待していることを述べた。
 ロボット革命は、科学技術による社会変革の先兵となるべき活動である。若い有能な士が、ことの重要性を理解し、これかかわり、ロボット革命をなしとげてくれることを祈りつつ筆をおく。
 
これまでの佐藤知正特命教授の記事

・ ロボット革命のすすめ~科学技術社会実装活動~3/3 (全3回シリーズ)
・ ロボット革命のすすめ~科学技術社会実装活動~2/3 (全3回シリーズ)
・ ロボット革命のすすめ~科学技術社会実装活動~1/3 (全3回シリーズ)
・ 部屋がロボット(1)




佐藤 知正
SATO TOMOMASA

東京工業高等専門学校
特命教授
前東京大学大学院情報理工学系研究科教授
東京大学フューチャーセンター推進機構 RTイノベーションコンソーシアム特任教授