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特命教授コラム

 
自動演奏楽器(2)
東京工業高等専門学校 特命教授 中澤 達夫

 ここで、自動演奏からは少し離れますが、電子楽器について紹介しようと思います。電子楽器とは、電子回路を使って作った電気信号を「音」の基として使い、やはり電子回路を使って音の3要素である音程・音量・音色を制御する楽器です。

▋テルミン(Theremin)
 世界初の電子楽器は、ロシアの物理学者レフ・セルゲイヴィッチ・テルミンが1919年に発明したテルミンとされています。テルミンの生涯は映画にもなりました。テルミンは、演奏時に楽器本体に全く触れること無く音楽を演奏することができ、その音色が幻想的なこともあってなんともふしぎな楽器です。
一度は忘れられてしまいましたが、1990年代以降再び見直されて少しずつ使われる場が広がっており、映画音楽やポピュラー音楽でその音を耳にした方もあると思います。

▋オンド・マルトノ
 テルミンと同じように、電気信号を音源とする楽器です。鍵盤が付いていたりして見た目はピアノやオルガンにも似ていますが、原則的には一度に一つの音しか出せません。フランスの電気技師モーリス・マルトノが1928年に発明したそうです。クラッシック音楽でもいくつかの協奏曲などが作られてます。



他にも、いろいろな楽器が創りだされています。例えば、電子オルガンや電子ピアノ、シンセサイザーなども電子楽器の仲間ですので、興味がある方はネットなどで調べてみてはいかがでしょうか。ハモンド・オルガンとレスリー・スピーカというものも、電気的にも機械的にも、そしてもちろん音楽的にもとても興味深いものです。



ところで、こうした楽器はなぜ作られたのでしょうか?
自然物体の振動や共鳴を利用するそれまでの楽器とは違って、無限の音域(人間に聞こえない周波数領域は、あまり意味が無いですが)が出せますし、音量、音色を自由に変えることも可能ですから、幅広い表現をしたいという要求に答えるのは簡単そうに思えます。しかし、実際に使いこなすには結局は従来の楽器と同じか、もっと高度な演奏スキル(熟練)が必要です。そういう意味では、以前に紹介したオルゴールをはじめとする自動演奏楽器とは少々異なるものといえるでしょう。別の言い方をすれば、自動演奏楽器は音楽を楽しむ聞き手が使うもので、電子楽器は音楽を創りだす演奏者が使うものということです。



電子楽器の演奏には、高度なスキルが必要(言い換えれば長い時間をかけて練習することが必要)と書きましたが、アマチュア演奏家にとって無縁なものかというとそうではありません。とくにシンセサイザーを考えるとわかると思いますが、たとえばピアノがある程度弾ける人は、全く同じ鍵盤の操作(演奏法)で、実際に出てくる音がオルガンであったり、トランペットであったり、バイオリンであったりという演奏をすることができます。シンセサイザーの演奏部分としてはギター型のものや管楽器型のものもありますから、若いころギターをいじったりブラスバンドで活躍したという人たちが、お年を召してからいろいろな音楽演奏を楽しむという使い方もできるでしょう。