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特命教授コラム

 
自動演奏楽器(1)
東京工業高等専門学校 特命教授 中澤 達夫

 イノベ−ティブ・ジャパンプロジェクトのトピックスの一つは「ロボット」に関することです。そこから勝手に連想し、いろいろな自動楽器について思いつくままにご紹介します。インターネットで検索すれば、もっと詳しいたくさんの説明があります。興味があったら調べてみてください。

▋ストリートオルガン
 もう20年ぐらい前ですが、アムステルダム(オランダ)に行った時に、遊園地にあるような大きなオルガンのような機械を、移動に便利なリヤカーのような台車に積んで、目抜き通りの道端で音楽を奏でている光景に出会いました。ちょっと怪しげなおじさんが、機械の横についた大きなハンドルを回して音を出しているのでした。遊園地のメリーゴーランドによく似合うような、懐かしい感じの音でした。少し多めにコインを渡して頼んでみたら、案外簡単にハンドルに触らせてもらえました。ゆっくり回すと孔が空いたロール紙が動き、それに合わせてオルガンから曲が聞こえてきます。鍵盤楽器が全く弾けない私は、なんだか嬉しい気分になりました。
 その後、国内外のいくつかの「オルゴール博物館」でこの楽器に再会し、ストリートオルガンと呼ばれていることを知りました。どうしてオルガンとオルゴールとが一緒の展示になっているのかな?と、少々不思議に思ったのですが、実はどちらも「自動楽器」の仲間なんですね。

▋オートマタ(automata)とオルゴール
 オートマタとは機械人形ないしは自動人形のことですが、オートマトン(automaton: automataの単数形)という言葉なら、情報工学を勉強している人たちにもおなじみではないかと思います。オルゴールというと、殆どの人は小さめの箱に入っていて、ゼンマイ仕掛けなどで回転する円筒の表面にピンが植えこんであり、このピンが金属片を弾いて音を出す機械を思い浮かべるのではないでしょうか?あるいは、博物館などでディスクオルゴールという、細かい孔が開いている金属の円盤を使ったものをご存知かも知れません。実は、ゼンマイ仕掛けの自動演奏装置であるオルゴールはオートマタの一種なのです。そして、自動機械としてのオートマタは、いろいろな装置の自動化(オートメーション)が進む中で、ロボットと呼ばれる装置に繋がって行きました。



ロボットという言葉は、カレル・チャペックという、チェコスロバキア(現在はチェコとスロバキアに分かれている)の作家が1921年に発表した「R.U.R」という戯曲の中で初めて使った言葉だそうです。語源は、チェコ語のrobotaという「労働」「強制労働者」を意味する言葉らしいです。チャペックには、「ダーシェンカ」という愛犬についてのエッセイもあります。ロボットとは関係ないですが、機会があったら読んでみてください。



▋オーケストリオン
 さて、ストリートオルガンはオルガンの音しか出せませんが、オーケストリオンといういくつかの楽器を一度に自動演奏する装置があります。やはり、今では博物館などでないと目にすることはないと思いますが、かなり大きな規模のものもあるようです。私が見たのは、下半分がピアノで上半分に4台のバイオリンが背中合わせに取り付けられているものでした※。
 今なら、高音質の音源を持ったシンセサイザーでもっと簡単、面倒なメンテンナスなしで使えるじゃないか、とお思いかもしれないですが、やはり生の楽器から出てくる音は格別です。しかし、蓄音機が発明されると、こうした大掛かりな自動楽器は廃れていったようです。
※例えば http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Baud_museum_mg_8497.jpg に写真があります。私が見たのもこの写真とほぼ同様のものでした。