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小山工業高等専門学校 川村研究室の事例紹介


Q1.現在、学生がおこなっている研究の取組み内容を教えて下さい。

 子どもの本離れを解消するため、ロボットを図書館に投入しています。これにより、ロボットと図書館による新しい価値が創造されてきており、下野新聞の社会面に掲載されたことから、全国放送のNHKニュースおはよう日本のコーナー「けさの知りたい」でも取り上げてもらいました。
 ロボットは、人とロボットの協調をテーマに開発を進めています。そのため、子どもには本に連想されるポーズをとってもらうことで案内がはじまるようにしています。また、幼少期の体験は将来的に大切なことから小学校低学年以下向けにするため、ロボットの大きさを設定し、かわいらしい姿になるようにしています。


図書館に社会実装する学生と開発中の試作機


Q2.学生は取組みテーマの選定をどのようにしておこないましたか?

 学生は、ロボコンに参加しており、小山高専ではロボコンデモを地域からの要請により行っています、この活動の中での繋がりから、図書館にロボットがいたら面白いかもしれないと考えました。そこで、図書館職員の方との懇談により、ロボットが必要とされていることを知りました。また、図書館利用者についても、アンケートをとり、子ども向けの案内ロボットがある程度の需要があると判断しました。実際に意見を聞いていくことで、ロボットの仕様などを選定していきました。

開発した試作機に案内をしてもらう子ども


Q3.協力者(地域の人々、企業の方)と学生のコミュニケーションの取り方を教えて下さい。
 毎年、4月になると、小山市立中央図書館と栃木市大平図書館に出向き、打ち合わせをしています。打ち合わせでは、図書館の館長さんも含めて、職員の方たちとも気軽に話をしています。また、定期的な打ち合わせだけではなく、必要に応じて利用者である父親母親子どもについても積極的に話しかけてロボットの構造や使用について話を聞いていきます。


試作機の調整に興味津々の図書館の子どもたち


Q4.協力者(地域の人々、企業の方)と関わった学生の失敗談とその学生の姿から先生が考えることをお聞かせて下さい。
 学生は、図書館の職員の方、来館者の保護者と子どもに接しています。子どもは、こちらを見て話しかけてこない子や積極的にいろいろと話しかけてくる子がいて、大変苦労しているようです。また、図書館職員の方の立場から見た仕事のやり方や保護者の立場からの図書館のあり方などを聞いて、自分たちが考えていないようなことをいろいろと学んでいるようです。また、子どもの突拍子もない行動や質問にも対応しながら苦労しています。しかし、子どもの喜ぶ笑顔がとてもいい刺激になっているように感じます。


社会実装を試みながらユーザーとコミュニケーションを計っていく


Q5.協力者(地域の人々、企業の方)と関わることで学生はどのように変わりますか?

 この活動では、総勢25名が関わっています。また、機械工学科、電子制御工学科、電気電子創造工学科の学生が集まりロボット製作に必要なメカトロニクスの技術を学生同士が連携しながら技術を駆使しています。機械・電気・制御がロボットには密接に関係していることを体験しています。
 上級生は下級生に対して見本を見せる様な行動をとってくれています。また、1年生もはじめは地域の人との話しかけ方などわからないのですが、この活動のおかげで、積極的な学生が多くなりました。この活動から、ロボットを製作するには学生同士の連携も大切ですが社会では需要も考慮することが重要であることを学んでいます。社会人となっても、この経験を忘れることなく、積極的にやってくれるものと思います。


図書館で社会実装する様子

2015.01
 

東京工業高等専門学校 青木研究室の事例紹介

Q1.現在、学生がおこなっている研究の取組み内容を教えて下さい。
 現在、二つのテーマに取り組んでいます。ひとつは高齢者見守りシステムの開発で、加速度センサーと無線通信モジュールを内部に納めた小さなボックスを開発し、それを高齢者が生活する空間内の、例えば椅子や引き出しやドア等に取り付け、それらの動きを検知してインターネットを介して見守ろうというものです。
 もうひとつは重症心身障害者のためのマンマシンインターフェースの開発で、言葉や肢体動作が不自由であっても本人の意思で少しでも動かせる部位があれば、その動きから確実に本人の意思を外部に伝えられるようなインターフェースを開発しようとするものです。更にこれは安価で取り扱いが容易であるということも絶対条件となっています。

高齢者見守りシステムのセンサ部分


Q2.学生は取組みテーマの選定をどのようにしておこないましたか?

 学生にはテーマの選定にあたって "これまで高専で学んできた技術を活かして実社会における何らかの問題に挑戦して、少しでも問題解決に貢献していけるようなテーマを考えて欲しい" と注文をつけました。学生も悩みながらいろいろテーマを検討したようですが、やはり今日の日本社会が抱えている高齢化の問題に的が絞られたようで "見守り" というテーマが選定されました。
 もうひとつは、本校の教養ゼミを担当されている先生から、近隣にある重症心身障害者用のリハビリ施設の紹介をいただき、さっそく研究室の学生数名を連れて見学に行きました。その際、職員の方から現場を案内していただき、実はこうしたことが問題になっているんですというような話を伺い、それならこれまで学生たちが学んできた技術を活用すれば解決できるのではないか、ということから開発がスタートしました。

重症心身障害者リハビリ施設職員の説明に聞き入る学生たち


Q3.協力者(地域の人々、企業の方)と学生のコミュニケーションの取り方を教えて下さい。
 コミュニケーションの取り方ということで特別な指導はしていませんが、普段から学生にはできるだけ社会とのつながりを意識してもらうような "場づくり" を心がけています。例えば、企業や海外等から高専の見学や調査のために研究室の方によくお客さんが来られますが、説明は全て学生に任せるようにしています。また、秋の学園祭では研究室の公開を通して学生には地域の人達とたくさんコミュニケーションしてもらうよう、毎年何らかの新しい企画を用意するようにしています。あるいは学外の研究機関や施設等で何か研究テーマに関係のありそうな話が聞けそうなときには積極的に学生を外に連れ出します。また逆に、地域の方を研究室に招いて自分たちの研究内容を紹介し、実社会の中でどう役立てられるか等、意見交換会もしています。

意見交換会では地域の方から貴重なご意見を頂きます


Q4.協力者(地域の人々、企業の方)と関わった学生の失敗談とその学生の姿から先生が考えることをお聞かせて下さい。
 失敗談というわけではないですが、見守りシステムの社会実装では、高齢者のお宅を訪問すると、まずは、お茶を飲みながらじっくりと世間話から入ることもあり、システムの据え付けに予想以上に時間がかかってしまったということがありました。しかし、そうしたことはまた学生にとってとても良い経験になっていると思います。

見守りシステムセンサ部を協力者のご自宅に設置する様子


Q5.協力者(地域の人々、企業の方)と関わることで学生はどのように変わりますか?

 私のところでは社会実装の取り組みは卒業研究の一環として進めています。社会実装の枠組みによる研究・開発は近隣の地域や関係する施設の方々など学外の協力者と連携して、信頼関係を築きながら進めていくことになりますので、学生にはなんとか決められた期間内にある一定レベル以上の成果を出したいという心理が働くのでしょうか、学生は熱心に取り組んでいます。
 また、自分で開発した装置やシステムを実社会の中で動かして、実際に誰かの役にたった/喜んでもらえたという経験をすることができれば、それは本人にとって大きな自信になりますし、次のステップに向けてのモチベーションにつながると思います。

2015.01
 


和歌山工業高等専門学校 津田研究室の事例紹介

Q1.現在、学生がおこなっている研究の取組み内容を教えて下さい。
 松葉杖歩行の方法を簡単に計測して、その善し悪しを判定するシステムの開発をめざしています。松葉杖は、下肢の治療中によく用いられる身近な歩行補助具です。よく用いられるものの、松葉杖の正しい使い方を修得してから使う患者は少ないのが実情です。それは、松葉杖を必要とするのは治癒するまでの比較的短い期間であるために、その正しい使い方を知る機会がない(必要がない)からだと考えられます。そうは言っても、怪我が治癒する直前の時期、すなわち自立・見守り段階で少なからず転倒事故が発生しています。そこで、本研究では、松葉杖を使い始めるときに少しでも使用方法を知る機会があればこのような事故を防げると考えて、簡便な松葉杖歩行の計測評価システムを開発しています。

松葉杖歩行の計測評価システムの試作機


Q2.学生は取組みテーマの選定をどのようにしておこないましたか?

 もともと、松葉杖に関する課題に対して、ロボット工学技術を用いた対策が求められていました。本取り組みでは、松葉杖歩行の計測と評価のためにKinectセンサやタブレットコンピュータなど、身近で流行のIT機器を使っています。当該学生は元々このような機器に興味を持っていたため、その興味を活かした課題解決を目標にしました。どのような課題に対しても積極的に取り組むことは大切ですが、取り組みの1つのきっかけとして、その学生の趣味や適性をさらに伸ばせるように教員がアドバイスすることも有効だと考えます。研究が進むにつれて、元々はあまり興味の無かったアカデミックな知識も必要になり、学生がそれを自発的に修得することにも繋がったと思います。

実験室でおこなう歩行計測実験


Q3.協力者(地域の人々、企業の方)と学生のコミュニケーションの取り方を教えて下さい。
 学生に対して、普段から学会発表の機会を提供したり、公開講座などのイベントでアシスタントを任せたりして、できるだけ学外の人と接する機会を提供しています。これらの経験が、コミュニケーションを円滑に進めて社会実装を実現することに役立つと考えています。

公開講座でアシスタントする様子


Q4.協力者(地域の人々、企業の方)と関わった学生の失敗談とその学生の姿から先生が考えることをお聞かせて下さい。
  言いたいことが伝わらない、準備段階では問題なく動いたものが本番では動かないなど、使う場所や環境が変わると,実験室で行うのと同じように進まないことがありました。しかしこれらのほとんどは、会話中に専門用語をできるだけ使わないとか、十分に準備していれば起きなかったか、起きたとしても即対応できたトラブルです。事後の反省でこれらのことを話し合いました。程度ものですが、学生には許される範囲での多少の失敗を経験させることが有効だと思います。また、それらを許容していただけた協力者の方々に感謝します。

看護師に相談し、ご意見を頂いて開発に反映させていきます


Q5.協力者(地域の人々、企業の方)と関わることで学生はどのように変わりますか?

  高等専門学校は本科で5年間、専攻科を含めると7年間の課程で、比較的長い期間を通して勉学・研究を進める目的においては理想的なしくみです。その一方、普段の学校生活だけでは、社会との接点が少ないまま学生生活を過ごしがちです。その結果,高等学校や大学に進学した同世代の人たちに比べると、客観的な視点やコミュニケーション能力を修得する機会が不足しがちです。そこで、高等専門学校での教育研究活動として社会実装を進めることで、学生が学外の協力者と接する機会が増えます。学外の協力者と学生ではそれぞれのバックグラウンドが異なることが多く、自らの考えを説明したり何かを依頼したりするのは容易ではありません。しかし、社会実装を目的に協力者と接することで、高等専門学校の学生に不足しがちなコミュニケーション能力を無意識のうちに育成することが期待されます。

失敗から学びつつ、少しずつ前進していきます

2015.01
 

沖縄工業高等専門学校 神里研究室の事例紹介

Q1.現在、学生がおこなっている研究の取組み内容を教えて下さい。
 沖縄高専で行っている社会実装プロジェクト教育は、特別支援学校からのニーズを調査し、肢体不自由児のコミュニケーションを補助する目的で、ジョイスティック型マウス、タッチスイッチなどのe-AT(Electronic and Information Technology Based Assistive Technology:以下e-ATとする)機器の開発を行っています。その他にも児童・生徒の状態把握のための視野計測器、聞こえやすい方向を把握するための音源定位測定器、視野疑似体験アプリケーションの開発や改良なども行っています。

学内デモンストレーションをおこなう学生たち


Q2.学生は取組みテーマの選定をどのようにしておこないましたか?

 特別支援学校の教員との意見交換会を年度の始めに行っています。卒業研究のテーマを決める際に特別支援学校の生徒のために何か協力したい、福祉や世の中に役立つ機器を作製して貢献したいと希望する学生が意見交換会などに参加し、1年間取り組めるテーマを決めています。
 意見交換で得られたテーマの中から、安価な機器が手に入りにくい、機器開発において試行錯誤できる部分がある、開発した機器の波及効果がありそうなど教員と相談して、テーマを決定します。機器開発を進めるにあたって、学生の得意としている分野を確認し、段階を設定することによって、機器の完成度を上げていけるようにしています。

一般の方から貴重なご意見をいただきます


Q3.協力者(地域の人々、企業の方)と学生のコミュニケーションの取り方を教えて下さい。
 特別支援学校への訪問の際最初は、教員が意見交換や機器使用のための実験などに付き添って、挨拶や質問するポイント、受け答えの訂正などその場でアドバイスを入れるようにしています。その後は、アポイントなど学生自身でとるように指示し、その報告を受けるようにしています。学生が特別支援学校へ単独で訪問した場合は、その時の様子や実験に関して状態を把握できるよう報告を聞きます。気になった点や報告で状態が把握できない部分に関しては、質問を変えて数回聞き返すようにしています。そうすることで、次の訪問時にはどの部分を注意しなければならないか、どういう状態を把握する必要があるかそのポイントを学生自身が捉えていけると考えています。

学生自身が考え行動します


Q4.協力者(地域の人々、企業の方)と関わった学生の失敗談とその学生の姿から先生が考えることをお聞かせて下さい。
  本取組みは、特別支援学校の生徒にe-AT機器を開発して、授業や生活の中で使ってもらうことを目的にしています。そのため、機器の使用実験などを行う際に機器がうまく動作しないことや段取りが悪い場合など待っている間に生徒が疲れてしまい、やる気が無くなってしまうことがあります。そのような時、学生は自分の機器開発の甘さや段取りの悪さを実感することになり、次回までにいろいろと試行錯誤を始めるようになります。興味を持って実験してもらうにはどうすればよいか、使用してもらう生徒にどう声がけを行うといいのか、実験の段取りを早くするにはどうすればいいのか、機器がきちんと動作するように調整することなど失敗から学んでいくことが多くあります。自分が考えているようには、スムーズにことは運ばないことを認識したところからこの取り組みで、学生自信が成長していくようになるのではないかと考えています。


Q5.協力者(地域の人々、企業の方)と関わることで学生はどのように変わりますか?

  まず、社会実装で機器を開発し提供することで、学生の達成感と自信に繋がります。また,学外の協力者と関わることで、これまで他の人とのコミュニケーションを苦手としていた学生や自分の能力に自信が無かった学生も自分から言葉を発し、明るさを意識するようになり、自信をつけていくことができているように感じます。1年間だけでなく2、3年社会実装の取組みを継続して続けることで、状態を把握する能力、知りたい情報を把握するための声がけや工夫、深く状態やものごとを考え次の行動に繋げていくことができるよう成長していくと思います。

研修室で取り組む学生の様子

2015.01